ミッドライフクライシスとは?中年の危機の意味と研究でわかること
ミッドライフクライシスは、日本語では「中年の危機」とも呼ばれます。
よく聞く言葉ですが、どこから来て、研究ではどう考えられているのでしょうか。調べたことをまとめました。
1965年の論文から広まった言葉
調べたこと
「ミッドライフクライシス」という言葉は、カナダ出身の研究者エリオット・ジャックスが、1965年の論文「Death and the Mid-life Crisis」で使ったのが始まりとされています(米国心理学会の心理学辞典)。
ジャックスがこの危機の中心に置いたのは、「自分もいつか死ぬ」という現実への気づきでした。中年になると仕事や家庭が落ち着き、親は老い、子どもは大人になっていきます。
そこに自分自身の老いの実感が重なる、という見方です。
ユングの人生の正午
調べたこと
心理学者のユングは1930年の講演で、人生を一日の太陽の動きにたとえました。人生の半ばは太陽が頂点に達する「正午」です。
午後は午前と同じ考え方では生きられず、自分自身に向き合う時期だとしています(国立国会図書館のレファレンス協同データベース)。
日本では、ユング派の心理療法家の河合隼雄が『中年クライシス』(朝日新聞社、1993年)で文学作品を通して中年の危機を論じました。2020年には朝日文庫から『中年危機』の題で出ています。
病名ではありません
調べたこと
WHOの国際疾病分類(ICD-11)には、ミッドライフクライシスという名前の病気はありません。米国心理学会の心理学辞典も、「一部の人に起こると考えられている」心理的な苦しさとしています。
中年期に特有のものだという実証的なデータはない、とも書いています。
誰にでも起こるわけではない
調べたこと
中年期の研究者マージー・ラックマンの2015年の論文によると、「ミッドライフクライシスを経験した」と答えるアメリカの大人は10〜20%ほどです。
中年期に危機を経験した人のうち、年をとることへの内面の葛藤がきっかけだったのは約半分でした。残りは離婚や失業、健康の問題など、どの年齢でも起こる出来事がきっかけでした。
幸福度は中年で底になり、そのあと上がっていく「U字カーブ」を描くという研究があります(Blanchflower と Oswald、2008年)。
一方で、カナダで若い頃から40代前半まで同じ人を追いかけた調査では、幸福度は30代にかけて上がり、中年に向けて下がる形ははっきり見られませんでした(Galambos ら、2015年)。この議論は今も続いています。
このサイトでの意味
研究の上ではまだ議論のある言葉です。このサイトでは私が考える意味でこの言葉を使います。
夫でもなく、父親でもなく、会社の肩書でもない。本来の自分に立ち返ったときに感じる、虚しさや悲しさや不安です。そして私は、それを「終わり」ではなく「スタートライン」と考えています。
ジャックスが中心に置いた「自分もいつか死ぬ」という気づきは、私が考える、この時期に重なる要因の一つと同じものです。なぜ40〜50代にこうした気持ちが出てくるのかは、以下の記事で書いています。
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